「求人をかけられなかった一番の理由は、うちの勤務時間なんですよ」
ある配管工事会社の社長が、初めての打ち合わせでそう言いました。忙しすぎて、休みが少ない。それを求人票に正直に書いたら誰も来ない。かといって嘘は書きたくない。
だから、出さない。
この話を聞いたとき、建設業の採用難の正体が見えた気がしました。真面目な社長ほど、求人を出せないんです。
「若者が来ない業界」は半分しか正しくない
採用できない理由を、社長たちは「3Kのイメージがあるから」「若者が来ない業界だから」と言います。半分は正しい。でも半分は違うと思っています。
構造を分解すると、4つになります。
構造①:情報がゼロ
ある電気工事会社は、創業から20年で20人を採用していました。ただし、全員が紹介。「御社に入りたいです」と応募してきた人は、20年間でゼロでした。
理由は単純で、会社の情報がどこにも出ていなかったからです。ホームページがない会社に、応募のしようがありません。いい会社かどうか以前に、存在を知られていない。
構造②:紹介には限界がある
紹介は確実です。でも数が読めません。社長の人脈が尽きたら終わりです。「今年は3人採りたい」を紹介だけで実現することは、できません。
構造③:正直に書けない事情がある
冒頭の社長の話です。求人票には法律に沿った休日数を書く必要があります。でも実態はもっと少ない会社が多い。
すると真面目な社長はこう考えます。「嘘は書きたくない。でも正直に書いたら誰も来ない。だから出さない」。
ここには業界の構造も絡んでいます。たとえば公共工事が中心の会社は、社会保険の加入が事実上必須で、コストが重い。だから民間中心の同業みたいに「日給2万5千円出すよ」とは言えない。ある土木会社の社長は「こっちはもう逃げられへん状態やから」とこぼしていました。
同じ職種でも、構造的に「条件の見た目」で勝てない会社があるんです。それは会社が悪いんじゃなくて、見せ方の問題です。
構造④:出しても、その後が回らない
運よく応募が来ても、社長は現場にいて電話に出られません。返信が3日遅れたら、応募者は他社に決めています。
採用は「出す」よりも「出した後」で失敗しているケースが、実はすごく多い。
採用難の正体は「見えない・回らない」
まとめます。採用難の正体は「魅力がない」ではありません。
「見えない」と「回らない」です。
だとしたら、やることは2つに絞られます。会社の中身を見えるようにすること(求人票・ホームページ・社員の顔)。そして応募後の流れを回すこと(返信・日程調整・面接まで)。
この2つをやっただけで、20年応募ゼロだった会社に応募が来るようになった例を、僕は何社も見てきました。ひとつ、忘れられない話があります。
四国のある町の若者が、正月に親戚の集まりで叔父さんに言われたそうです。「電気工事士は手に職がついて、長く食えるぞ」。その夜、彼は地元の地名と「電気工事士」で検索した。地元の会社は、1社も出てきませんでした。
彼がたどり着いたのは、隣町の会社。僕が書いた「電気工事士の将来性」という記事が検索に引っかかったからです。彼は広告を通らず、HPから直接応募して、未経験で採用されました。
求人を出していない会社が悪いわけじゃない。ただ、探している人は、確かにそこにいるんです。見つけてもらう準備をしていないだけで。
NOMADENSEは、建設業専門の「黒子」です。 「見えるようにする」も「回す」も、社長の代わりに実務ごとやります。うちの場合はどうなんだろう、と思ったらお問い合わせからどうぞ。状況を伺って、できること・できないことを正直にお返しします。