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求人票2026-07-07

求人票の一行を変えただけで、応募はゼロにも複数にもなる

才木一真 / NOMADENSE 代表

応募が1件も来なかった求人票を、面接辞退の連絡が来た夜に、もう一度上から読み返したことがある。

自分で書いた文章なのに、読み終わって最初に思ったのは「これ、誰に向けて書いたんだっけ」だった。給料も、休日も、仕事内容も、ちゃんと書いてある。なのに、そこで働いている人の顔が、一人も浮かんでこなかった。

前職で50社以上の採用を担当した。求人票を直した翌週に応募が来た会社もあれば、何を変えても電話一本鳴らなかった会社もある。その差はどこにあるのか、ずっと考えてきた。行き着いた答えは、拍子抜けするくらい単純だった。

「未経験歓迎」がなぜ効かないのか

中小企業の求人票で一番よく見る言葉が「未経験歓迎」だ。

書いている側は親切のつもりで書いている。ハードルを下げて、間口を広げて、たくさん来てほしい。その気持ちはわかる。でも求職者の側から見ると、この言葉は何も言っていないに等しい。

「未経験を歓迎する」と言われても、じゃあ入社したあと自分が何をするのか、どんな一日を過ごすのか、3ヶ月後にどうなっているのかは、一切見えない。人は、見えないものには応募できない。

逆に「経験者優遇」と書いてしまう会社もある。これはもっと悪い。未経験の人は「自分は対象外だ」と離れていき、経験者は「わざわざ中小に行く理由がない」と大手を選ぶ。結果、誰も来ない。

隣の会社との、たった一行の差

同じ町の、同じ業種の、ほとんど同じ給料の2社で、片方には応募が来て、片方には来ない。そういう光景を、何度も見てきた。

採れている会社の求人票には、ある一行があった。

「入社1年目が、最初の3ヶ月で何をするか」

たったこれだけ。先輩について現場を覚える、道具の名前を覚える、3ヶ月目から簡単な作業を任される。そう書いてあるだけで、読んだ人は「自分がそこにいる姿」を想像できる。想像できたら、応募のボタンを押せる。

求人票は、条件を並べる書類じゃない。読んだ人の頭の中に、働いている自分を映すための装置だ。

23歳の未経験者が、電気工事の会社に来た話

電気工事の会社で、20代の採用に何年も失敗していたところがあった。

やったことは大きく2つ。求人ボックスに有料広告を出したことと、「電気工事士になりたい20代」に刺さる言葉を求人票に入れたこと。資格取得を会社が支援すること、最初の半年は先輩とペアで動くこと、5年後には現場を任されること。未来が一本の線で見えるように書いた。

翌週、23歳の未経験者から応募が来た。彼は結局その会社に入って、今も働いている。

特別なことは何もしていない。募集の文章を、「会社が言いたいこと」から「求職者が知りたいこと」に書き換えただけだ。

求人票は「働く自分が見えるか」がすべて

採用がうまくいかないとき、多くの社長は給料を疑う。次に媒体を疑う。最後に「うちみたいな会社に人は来ない」と諦める。

でも本当に効くのは、もっと手前にある。求人票を読んだ人が、そこで働く自分を想像できるかどうか。それだけで、応募はゼロにも複数にもなる。

お金をかける前に、まず今出している求人票の一行目を読み返してほしい。そこに、来てほしい人の顔が浮かぶだろうか。浮かばないなら、直せる余地はまだ十分にある。

一人で求人票と向き合うのがしんどいなら、隣で一緒に見直させてほしい。単発で書いて終わりではなく、応募が来るまで、来たあとの面接まで、月額で伴走している。大手のコンサルに頼むほどじゃないけど、一人で抱えるにはしんどい。ちょうどその温度でやっているつもりだ。

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